徒然なる日々

無気力怠惰系社内SEのあれやこれや

ITストラテジストに合格したので感想や勉強方法などまとめ

4/16にITストラテジストを受けてきた。

合格発表は6/29とのことでずっとそわそわとしていないといけないけど、ひとまず忘れないうちに感想やどんな勉強をしたかなどまとめておこう。合否が出たらここに追記する。

 

6/29追記

受かってた(^o^)やったね(^o^)

やはりある程度実務経験や経営、戦略の知識があれば、他の技術的要素を問われる試験区分よりも勉強時間少なめでいける試験なんだろう。ほぼ国語と一般常識のテストだと感じた。ネットに転がってる資格偏差値表みたいなのでかなり上の方にいるのは違和感ある難易度だったので、それで尻込みしてる人はどんどん受けると良いと思う。行政書士気象予報士より難しい訳がないので。

 

受けようと思った理由

これは正直なところ、仕事が嫌すぎて現実逃避のためであった。お勉強はただ自分とだけ向き合えば良く、仕事から感じるようなストレスが全く無い。別に落ちても受験料以上に損をするわけでもないし、受かったら儲けもんくらいの感覚で資格を取ることに決めたのが昨年の秋頃。

どうせ取るなら難しくて市場価値の上がる資格がいいなと思い、ITストラテジストを受けることに決めた。ちょうど半年後に試験あったこともあり。仕事でもプロジェクトマネジメントだけではなく、その前の企画立案みたいな少し経営視点のことをやってきていたのもあって、これまでの業務経験を総括する意味でも取っておいて無駄ではないと感じたのも理由のひとつ。

あとは、技術的な知識がほとんど不要っぽかったのが大きい。ネットワークやらセキュリティやらは技術的な知識がものすごく必要そうで、一から知識を仕入れるのが正直めんどくさすぎた。その点ITストラテジストは、午後1なんか完全に国語のテストだし、大して勉強しなくても受かる気がした。(受かるとは言っていない→追記:ちゃんと受かった)

これまでの経験や持っている資格など

SIerのSEや社内SE等を12年くらい経験している。そのうち、半分くらいはプロジェクトの企画とか投資対効果の算定とかにも絡んでいるので、ITストラテジストとの親和性はそこそこ高いのではないかと思っている。

全く楽しんでやってはいないし、業務として自分に向いているかは置いておいて、鉛筆舐めたり屁理屈をこねくり回して会社の偉い人を納得させるのはかなり得意ではある。

受験時点で持っていた資格は以下の通り。

PMPは昨年取得したが、基本と応用は10年前後前に取ったきりなので、正直技術的な知識はすっぽりと抜け落ちていた。

勉強方法

わざわざ書くまでもないことだけど、高度情報処理の試験は午前1、午前2、午後1、午後2の4つに分かれていて、ITストラテジストもその通りだった。それぞれの内容や行った勉強は以下の通り。ちゃんと勉強を始めたのが今年の3月からなので、期間で言うと2ヶ月弱くらいだった。

午前1:合計5時間くらい

スマホアプリや過去問サイトで過去問を解いただけ。応用情報の午前問題からの抜粋だが、過去受かったはずの応用情報の知識がすっぽりと抜けていた。ただ、応用情報に受かった時のことを思い返すとやっていたことは過去問を解いて答えを暗記しただけなので今回も同じようにした。多分半分近くは過去問から出るんじゃないかと思うので、以下のサイトあたりで5年分くらいを数周して答えを覚えよう。花見の場所取りをしながら過去問を解いた時間が一番重要だった。

応用情報技術者過去問道場|応用情報技術者試験.com

午前2:合計5時間くらい

こちらも全く同じでスマホアプリや過去問サイトで過去問を解いただけ。個人的には技術的要素があんまり無い分、午前1より簡単だった。初めて過去問を解いた時からどの年も7割くらいは取れていた気がする。実務で財務視点での用語に慣れていたりするとかなり解きやすいのと、ある程度英語に親しんでいると、全く知らない用語や英語の略語の意味を問う問題も、なんとなくどういう意味なのか想像できて便利。その他、線形計画法とか財務諸表からの簡単な計算とか、小中学生くらいの算数、数学問題はさらっと解けると心に余裕が生まれる。なんにせよ、過去問を何週か解いて答えを覚えよう。

ITストラテジスト過去問対策.com

午後1:合計5~10時間くらい

これはもう完全に国語の試験である。一応最近のIT、IoTに絡めた問題ではあるが、昔中学校や高校で解いた国語のテストそのものであった。高校生の頃、現代文だけは勉強しなくても点数が取れた科目だったので、他の高度区分の試験と比べると何とかなる気がした。ひとまず問題形式に慣れ親しむために、以下の本を読んで読み解き方を学び、あとは5年分くらいの過去問を解いただけの勉強とした。

どういう流れで問題を読み解けばいいのか、回答すればいいのかがまとまっているので、かなり良い参考書じゃないかと思う。

過去問は公式サイトにて。

過去問題 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

午後2:合計10~15時間くらい

午後1までは単なる足切りでこれがラスボスというか、実質的な本番と考えて差し支えない。限られた時間内で論文を書くのは以前の職場での昇格試験以来である。何を隠そう私は字が壊滅的に汚く、そして字が汚い人間のご多分に漏れずに無駄に筆圧が強い。なので文字をたくさん書くと尋常じゃなく手が痛くなることが、一番の難関だった。

ひとまず、どんな論文を書けば良いのかを、一番売れているであろう以下の参考書で勉強した。論文の構成の仕方や注意事項、小技みたいなのが良くまとまっている上に、著者たちの良質な論文サンプルがたくさんあるので、かなり良い参考書だと思う。独学の初学者でこれ無しで受験するのは無謀な気がする。

正直、本当の実務経験だけで問題の通りに論文を書くのは至難の業である。なので、実務経験だとかサンプル論文とか、世の中に実在する事例とかから、論文を構成する要素を事前に準備しておいて、本番では問題に合わせて即興で組み立てる能力が必要になる。どの論文でも、

  1. 事業概要や事業特性
  2. 取り組みの背景
  3. 取り組みの詳細
  4. 経営層や関係者への説明とか合意とか

という感じの流れは共通であるので、この流れで時間以内に書き上げる練習をしておくと良い。しっかり準備している人はいろんなパターンで5題材くらい準備するらしいが、私はDX関係の問題が例年通り出ると踏んで(出なかった、後述)、社内プロセスのAIによる改善と、AIを用いた社内/社外の絡んだ新サービス、みたいな視点で2題材だけ用意していた。

あとは、とにかく時間以内に書き上げることがまず大前提なので、手書きで最後まで書ききれるようになっておく必要がある。私は手が痛いのが嫌なので、手書きで実際に書いた練習論文は2本だけだったが、それ以外にキーボード打ちで4本くらい書いた。

受験後の感想

午前1、午前2

過去問に無かった初見問題も結構あったようには感じたが、既存の知識や推測、消去法で回答できるものが多かった。帰ってから自己採点するとどちらも8割を超えていそうだったので、やはり過去問演習だけで充分だった。追記:実際に8割超えていたので間違ってなかった。

午後1

問1と問3を解いた。

  • 問1:楽天っぽいポイント付与とか会員ランクとかの話
  • 問3:衣類のデザイン販売会社の話

これは解答例が出るのがまだなので、果たしてどれくらいできていたのか分からないけど、足切りラインの6割は超えていると信じたい。どうしても書いていて違和感があった問題は全体のうち2問だけで、それ以外は何かしらそれっぽい答えが書けたのではないかと思う。時間は10分以上余った。見返せば見返すほどこういう言い回しの方が良かったなぁ、とか考えてしまうので、もう見直さないことにした。

これは前からずっと気になってるんだけど、国語のテストみたいにITストラテジストの午後1も部分点ってあるんですかね?あってくれないと困るけど。追記:想定よりだいぶ高く78点取れていたし、部分点は確実にあると思われる

午後2

上述の通り、昨今の傾向からDXに関する題材を2つ準備していったのに、なんとシステムの改修依頼、ITシステムに関するリスク評価、とかいう思いっきり情シス、みたいな題材が出てきて困った。

個人的に経験もあって書きやすそうな問1を選んだけど、たぶんこれ、単にシステム改修の話をそのまま書いてしまうと、ただのSEとかシステムアーキテクトみたいな内容になってしまって落ちると想像する。ITストラテジストの論文のポイントは問題文中にあると思っていて、その誘導通りに書くことが重要だ(これが一番意識しないといけないこと)。出題意図通りに書くというのが一番大事で、それはつまり問題文をよく読んで聞かれていることに答える、という国語力の根幹を問われていると言える。これができる人は簡単に合格できるし、そうではない人にとっては結構苦しいのかもしれない。

この問題でも、問題文中にこれ見よがしに記載されている、改修依頼の背景にある真の問題の分析や、上流下流の他業務への影響調査、全体最適、費用対効果、スケジュール、など…をしっかりと経営的視点で書ききることが重要だと思う。私も問題文中の要素をすべて詰め込んで、ざっくり以下の感じで書いた。準備していたAIによる工場DXの題材を即興で再構築した。ちなみに私自身は、製造業で工場系のシステムの経験はあるものの、全体最適みたいな大きな話の経験も無ければ、AIを実業務で使ったことも無い。でも工場のITを知っていたので全体構成は苦しむことなくできた。やはり実務経験があると有利である。

設問ア

  1. 事業概要と事業特性:大手製造業。少子高齢化などで製造作業員の人材難。
  2. 業務部門からの改修依頼:製造管理システムにおける入力項目の削減依頼。
  3. 業務部門の問題認識:中計で人件費削減や営業利益率向上が挙がっていて、作業員によるシステムへの入力工数という間接業務を減らしたい(安直、でも実際にそういう小手先の改修依頼ばっかり来るんですよね)

設問イ

  1. 問題分析:工場で一番人件費がかかっている工程の定量分析で検査工程と特定→当該の検査工程の作業員に問題点をヒアリングして定性分析、と進めた点を工夫したところとして記載+他システムとのインタフェース調査で前後業務への影響も考慮。
  2. 問題の真因:検査工程の人件費が多大+教育も大変で、将来的な人材確保や事業継続のリスク。他工場でも同様の問題があり、全社的に検査工程の改革が必要、ただし品質の担保も重要。当初の依頼通り入力項目を減らすと、下流の出荷検査に影響あり。問題文中にあった「全体最適」や「上下流業務への影響考慮」をこれ見よがしに入れ込んだ。

設問ウ

  1. 対応策:AIによる画像判定で検査工程を自動化。下流システムへのインタフェース維持に留意。
  2. 協議内容:複数工場で足並みをそろえて全社で最適化。概念実証→パイロット運用に1年かけて慎重に+AIの性能も向上していく。IRRがハードルレートを超えない問題が出たが、人材難の将来における事業継続への貢献や、営業利益率の向上への貢献を定性的、定量的な効果として、中計との繋がりをアピール。これまた問題文中にあった費用対効果算出やスケジュールを業務部門と握る部分をしっかりと記述。途中一山(IRRの部分)を設けることで、ストーリーとしての起承転結と読みやすさを意識。
  3. これらを工場管理者や経営層に説明してGoが出た!以上!(迫真)

予想してなかった問題だったが、それにしてはよく書けたと思う。これで落ちてたら、今の自分にこれ以上のものは書けない気がする。なんにせよ、受験した皆様も自分もお疲れさまでした。帰ろうとしたら、直前まで豪雨だったようで外がめちゃくちゃ濡れていた。帰る時には止んでいたので神はいるなと思った。会場も自宅から徒歩10分で最高だった。追記:受かってた。良かった。

最後に

そもそも受験していない人の空席も結構あったし、試験の途中で帰っていく人、午後2が始まって10分で論文執筆を諦めて退室する人などが多くいた。なので、合計の合格率は15%だかだけど、最後までやり切れた人に限って言うともっと高いんじゃないかという気がする。

こういう試験では疲れによる思考停止が一番危険なので、試験の合間では糖分を取ったり手を揉んで痛みを和らげたりした。昼休みに買って初めて食べた水グミがグミ好き的には極めて今回のMVPであったので、大々的に宣伝して本記事の終わりにする。

おわり