先日実施されたJDLA Deep Learning for ENGINEER 2024 #1、通称E資格に合格したので忘れないうちにまとめておく。↓は得点率。全体の得点率や問題割合が非公開なのでよく分からないがぼちぼちできた方だと思う。肝心の深層学習の得点がゴミなので残念な感じは否めない。
E資格とは
ご存じの通り、E資格はJDLAが主催しているAI関連の資格の一つであり、薄く広い知識やビジネスへのAI適用に主眼を置いたG検定と比べて、より深い理論や数式、プログラムの知識が要求される資格となっている。
業務でいわゆるDXに関わることが多く、昨年G検定に受かったので次なる学習としてE資格を受けてみることにした次第。なかなかしんどかった。
認定講座
このE資格、G検定と違ってJDLAが認定している業者のE資格講座を修了しないと受験資格が得られない。これがまたなかなかに高額で利権の香りを感じずにはいられないが、一受験者たる自分には何も言う権利など無く、受講費用を会社が出してくれるのでありがたく受講させていただいた。
どの講座を受けるかは悩みどころだろうが、私は会社の人が以前に受けたことがあるAVILENの講座を深く考えずに選択した。受験要件となるE資格講座のほかに、その前段となる機械学習に関する基礎知識を学べる機械学習講座もあるが、そちらはある程度知っている内容だったのでE資格講座だけを受講した。
いろんな方々がブログなりにまとめられているが、AVILENの講座はプログラミング(TensorflowかPytorchを選択)演習がなかなかにヘビーで、その上独自のプロダクトを開発する演習、更には修了試験まであり受験資格を得るまでの道のりがそれなりに険しかった。特に修了試験は2回落ちると次から追加受験料が発生するので要注意。
ただこの講座、終了した後に使える問題集(多分修了試験と同じ)があり、これが合格に非常に有用だと感じた。後述の黒本だけでは最近の要素だったりフレームワークによる実装には対応していなかったりするので、AVILENの問題集をやりこむだけでかなり合格に近づくと思う。AVILEN講座の合格率の高さはこのあたりにあるんだろうと思った。
講座以外の勉強
ここがおそらく一番みんなが知りたく、そしてネット上に情報があんまり無いところだと思われる。自分なりに調べたり試行錯誤してみたのでまとめてみたい。
- ゼロつく(1と2)
- 神ブログ
- 頑張ってまとめたノート
- 黒本
- AVILENの想定問題集
ゼロつく
これはもう言うまでもないくらい有名だが、PythonでほぼフルスクラッチでDeep Learningを実装していこうという本。理論から実装まで極めて丁寧に説明されているので、読みながら写経するだけで相当勉強になるし、ここで出てきたソースコードがそのまま本番の問題に出てきたりするのでやらない理由は無いだろう。
1~4まで出ているが、E資格の合格のためだけなら1と2をやっておけば十分だろう。とにかく自分で手を動かして実装してみることをおすすめする。1はシンプルな全結合ネットワークとCNN、2がword2vec、RNN、LSTMやAttentionになっている。どちらも本番試験でたくさん出てくる。
神ブログ
先ほどE資格に関する情報は少ないと述べたが、実際にはとても大事なことをまとめてくれているブログも複数ある。知識面の整理を載せてくれているブログは大いに学習の参考になるのは当然のことだ。ただそれだけではなく、この手の試験では丸暗記が重要になることが多いのもまあそうなるよなということで、ここ丸暗記しとけよと教えてくれているブログもチェックしておこう。本当にお世話になりました。感謝。
ここに載っているのはPythonコードについてだけなので、その他いみふな数式も丸暗記した方がいいと思う。RNN、LSTM、GRUの各計算、価値観数、行動価値観数や方策勾配定理等の強化学習関連のカオスな数式たち、損失関数たち(特にGANのやつとか)、等々。どこまでちゃんと理解したうえで覚えて、どの範囲を丸暗記するかは自分の脳と要相談。
頑張ってまとめたノート
何のことは無い、AVILEN講座のテキストだとかブログだとか自分でまとめたこととかから、大事なところをひたすらExcelにペタペタと貼り付けて作った自作ノートだ(著作物を含むのでもちろん公開はできない)。
ノートくらいみんなまとめているかもしれないが、個人的にここで大事だと思うことは、「ちゃんとシラバスを見よう」ということ。試験を受けるなら何が試験に出るかちゃんと見て、そこに絞って勉強をするのが当たり前だけど重要となる。例えば認定講座ではシラバスの範囲外も教えていたり、逆にシラバスに入っていることでも教えていなかったりするので要注意。シラバスは公式ページで公開されているので絶対に見ましょう。ちなみに2024年の夏の試験からシラバスが改定されるみたいだったので、絶対に今回合格したかったというのがある。余談。
E資格とは - 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】
このシラバスで出ると書いてある各要素について、完璧に理解しているというもの以外の内容を順番にノートにまとめていって、寝る前とか電車の中とかで繰り返しぼんやり読むことで頭に入れていった。昔英単語を暗記したのと同じように、一か所をずっと考えるのではなく何度も繰り返して流し読みする感じ。
一個だけ失敗を挙げるとすれば、旧シラバスに載っていたが受験時点のシラバスから消えていた「ネステロフのモメンタム」というのが普通に出題されたことだ(問題の詳細は言ってはいけないらしいので割愛)。「モメンタム」という項目にまとめられたということだろうが、元々書いてあったのをあえて消したらもう出ないと思って油断するやんけ。全く分からんかったしちょっと腹立った。余談。
黒本
E資格のための問題集本はこれしか無いのでやらない理由が存在しない。公式が参考書籍としているくらいだし。
結構値が張るが、中古なりで購入してでも絶対やりましょう。第2版が出ている中では最新だけど、中古市場には古い第一版が出回っているので間違って買わないように。今度シラバスも変わるのでもしかしたら第3版が出るかもしれない。
長らく第2版から改定されておらず旧シラバスを基に作られており、最近追加された問題だったりフレームワークを用いた実装には対応していないので、その部分は認定講座なりで別途演習する必要がある。
AVILENの想定問題集
これは上述の通りで、黒本よりも有効だったかもしれない。問題の選択肢の中に答えが書いてあったり謎の誤植があったりするので多少の改善は望まれる。受講した認定講座によって学習に使える材料は変わってくるので、AVILEN以外については何も言えることが無いが、少なくとも私にとっては極めて役に立った。
大体の合計勉強時間:約50時間/期間は実質一ヶ月
ちゃんと測定したわけではないけど、多分全部で50時間くらい勉強した気がする。Pythonや機械学習に触れたことがあったのと、G検定と内容が被っているところも多かったのでかなり省エネで合格したが、完全な初学者だともっとかかると思われる。
- 認定講座:20時間(動画は倍速再生、ほとんどの時間はプログラム演習)
- 認定講座以外:30時間(ゼロつくやったり夜寝る前に問題を解いたり)
勉強期間はちょっといびつというか途中放置していて実質1か月ほど。
- 試験4か月前にAVILEN講座を始める
- 修了試験以外のプログラム演習までを半月で終わらせる
- その後3ヶ月くらい放置
- 終了期限ぎりぎりにちょっと勉強を始めて修了試験に合格
- 最後2週間で知識の詰め込みと問題演習を集中的に
試験本番
テストセンターで身分証明書を見せたりなんやかんやして受験。黒本とAVILENの問題集でかなり慣れていたからか、とりあえず解き終わった時点で30分以上余っていた。そこから怪しいフラグを付けていた問題を熟考していたらちょうど時間が来たくらいで終了した。
これもいろんなブログで言われているしG検定も同様だが、出回っている問題よりも本番の方が確実に難しい。問題集ではあまり触れていないような要素の実装や、妙に問題文が長い長文問題、図表から言えることを読み取れる問題など、学生の頃の社会科のテストを思い出すような要素もたくさんあった。逆に言うと技術面を知らなくても頑張って問題を読み解けば推測できる問題もあったので、時間の許す限り頭をフル回転させると光明が見えるかもしれない。
まとめ
どれくらい難しかったかと振り返るといまいち分からない試験だった。お金も時間もかかるのは何となくPMPと同じ感覚。やはり覚えることが多かったのでITストラテジストよりは難しかった気がする。
もう資格の勉強はちょっと飽きてきたので、次は家の電気工事をできるように電気工事士を目指すか、英語の勉強を再開してTOEIC900点を目指してみるか、どうしようかなぁと思いつつ、意識激低無気力人間なのですっかり堕落してしまい、Youtubeのショート動画やまとめブログに時間を吸われて日々が無為に過ぎていっている今日この頃である。
おわり