徒然なる日々

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PMIイズムとはいったい…うごごご!!

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以前PMPを取得した記事を書いたが、ある程度時間が経ってみて思い返すと、やはりPMIイズムに関する理解が合格に直結している気がしたので、もう少し深堀して知見をまとめておきたい。

 

PMIイズムとは

PMIイズムを私なりの言葉でまとめるならば、「PMIが考える良きプロジェクトマネージャーの行動原則」と言えそう。PMPを受験しようとするプロジェクトマネージャーの方々なら、それぞれに考え方や実務経験があり、自分なりのプロジェクトマネジメントのやり方があると思うが、PMIイズムはあくまでもPMIが正しいと考えるプロジェクトマネージャーとは何か、という哲学めいたものだととらえている。

例えば、問題が起こった時にすぐにステコミにエスカレーションして炎上を防いだり、逆に小さな問題ならあえて放置したりすることはよくあると思うが、これらの行動はどちらもPMIイズム的にはNGである。

この記事では私なりのPMIイズムの解釈をまとめて行きたいが、とにもかくにも、PMPを受験する際は、自分なりのプロジェクトマネジメント哲学はいったん忘れておくのが良い。

あとは、この記事では私の解釈を書き記しているが、以下のUdemyの講座がPMIイズムの概念を広く知るにはとても役に立った。安いので興味があれば見てみてください。

www.udemy.com

PMI倫理・職務規定について

PMIイズムを理解するためには、ぜひまずはPMI倫理・職務規定を読んでほしい。

公式に公開されていてたった8ページ。これを読まずにPMP試験を受けるのは自殺行為とも言える。私はPMBOKガイドは読まなかったが倫理・職務規定は読み込んでちゃんと合格できたので心からおすすめです。

リンク:PMI倫理・職務規定 (PDFファイル/377KB)

中身を見てもらえればすぐに分かるが、大きく4つの要素でできている。

  • 責任
  • 尊重
  • 公平
  • 誠実

なんとも高尚なことだが、PMP試験ではこの4要素を兼ね備えたPMをしっかりと演じながら回答することが重要になってくる。つまりは、「責任感を持ち」「常に公平な態度で」「関わる全ての他者を尊重しつつ」「誠実に」PMの職務を遂行するということだ。なんのこっちゃ。

構成要素の細分化

大事な要素はわかったが、じゃあ具体的にどうすればええねん、という話である。友情・努力・勝利!少年ジャンプのようである。要素ごとにどういうことなのか少しかみ砕いて考えてみる。

責任

つまりは自分の仕事に責任を持ってやりきるということ。途中で仕事を投げ出したり、他人の力にすぐに頼るのはPMI的ではない。また、責任を持つべきは仕事そのものだけではなく、社会、公共安全、環境の利益を最優先して意思決定し、行動することが求められる。世のため人のために滅私奉公するという心がけが重要だ。

問題やミスが発覚した時は決して見逃さず、解決のためにすぐに動き始めることが重要だ。たとえそれでプロジェクトが遅れたりコスト超過してしまっても、あるべき姿にもっていくために動かないといけない。

ただ、何でもかんでも責任をもって引き受けろ、とは言っていない。自分のスキルや経験の範囲でできる仕事だけを引き受けましょうとある。つまり、できもしない仕事を引き受ける行動は無責任だということ。

この考え方は試験でも生きている。基本的には、PMの仕事なのに自分で解決に動かず、すぐにエスカレーションしたり見て見ぬふりをすることは決して許されない。ただし、それはあくまでPMの責任範囲においてのことである。PMに責任が無いこと、決定権が無いことを勝手に決めるのはむしろダメで、しかるべき会議体や決定権のある上位者に諮ることが正解のこともある。PMの仕事は何か、を考えるとこのあたりの切り分けはしやすいかもしれない。

あとは、人が不正を行っているのを見つけた際、すぐに問題解決に動く、しかるべきところに通報する、等の行動も求められる。たとえそれが同僚を売ることになっても、不正を見逃すことはPMI的ではない。しかしここでも注意事項があり、確実に不正をしているという裏付けが無い限りは動かない方がいい。全般に言えることだが、裏付けなく想像だけで行動するのはPMPとして正しくないのである。

尊重

これはもう少し分かりやすいかもしれないが、つまりは他者や組織に敬意を払いましょう、ということ。昨今ダイバーシティインクルージョンなどという言葉が叫ばれているが、まさにそのことである。

自分が属する組織、顧客、協力会社、同僚やそこで働く人、ルールなど、自分を取り巻くあらゆるものを尊重しなければならない。ここでいう尊重とは、まずは受け入れて理解に努めるということと、もし相いれない場合や意見の衝突があった場合も、誠意をもって交渉や話し合いをするということ。

意見の違いは当然あるものとして、お互いにリスペクトの気持ちをもって高めあっていくということが、このグローバル社会においては極めて重要です。お、今いいこと言ったな。

PMP試験の中では、なんでそんなことになってんねん、みたいな謎ルールや組織状況が現れることもよくあるが、それでもまずは尊重し、理解し、そのうえで解決策を見出すべき。ここで大事なのは、利己的な理由で影響力を行使して何かを変えようとしてはいけないということ。あくまで、職務上あるべき状態を目指すために行動しましょう。必要なことであれば、PMとしての権限を行使してトップダウンで物事を決めることが正解の場合もある。

公平

自己利益や先入観を一切排除して行動しましょう、ということ。例えばメンバ間で意見の対立があった場合、話を聞かずにどちらかの肩を持つのはNG。また、必要なステークホルダを巻き込んで解決を図るべき時に、情報を開示せずにもみ消してもいけない。関わる人たちにとにかく公平に接し、あるべき状態を模索しなければならない。自分の家族や知り合いを縁故採用する、なんてのは言語道断。一方で、本当にちゃんと能力があるなら知り合いを連れてくるのはもちろんOK。ケースバイケースだ。

あとは、国籍、年齢、人種、性的志向、etc.で人を差別してはいけない。これは尊重とも繋がる話ですね。ただし、例えばその国特有の慣習がある場合には、他の国と同様にんなもん不要だ、とかといって切り捨ててはいけない。尊重と公平を共存させた行動こそがPMI的なのだ。

誠実

最後に誠実さ、これはつまり、正直であることだろう。走れ正直者。嘘はつかない、物事を隠蔽しない、問題があればタイムリーに報告する、たとえ自分に不利益があることでも必要ならすぐにエスカレーションする、等。

人生において正直であることは美徳でもあり、逆にコミュニケーションを阻害することもあるだろうが、PMIイズム的にはとにかく正直に、誠実にいなければならないのだ。

試験におけるPMIイズムの使い方

長々と書いてきたが、じゃあこれらPMIイズムがPMP試験でどう出てくるんだ、という話が気になりますよね。PMPの試験では、PMやメンバはとにかく何かに困っている。あらゆるプロジェクトで問題が起こっており、どうしたらいいか右往左往している。〇〇の状況だけど、次にやるべきことは何か?とか、こんな困ったことになってるけどもっと前にやっておくべきだったことは何か、とか。そんなにいたるところで問題起こらんやろ…いや、起こるか…

PMIイズムを踏まえると、例えばPMP試験では以下の考えを頭の片隅に残しておくと良いだろう。

  • 人任せ/すぐにエスカレーションしない:PM職務を人任せは無責任、不誠実
  • 問題を無視/先送りしない:問題を見て見ぬふりするのは無責任で不誠実
  • 問題の真の原因を確認する:憶測で動くのは無責任で不公平
  • 意見がぶつかったら議論する:公平、誠実に解決を図る
  • 問題は公開して解決する:問題をもみ消すのは無責任、不誠実
  • etc...

ここにすべてのケースを書ききれないが、PMI職務・倫理規定を読んだうえで、自分がいわゆる正義マンだったらどう動くかを考える、と思えば想像しやすいかもしれない。

PMIイズムは理解しにくい、という言説を見かけることがあるが、個人的には決して理解が難しいものではなかった。前述の通り、とにかく正義マンになりきることが重要。試験を解いていると自分がプロマネならこうするなぁ、みたいなのが常に頭をよぎるが、そういう考えはどんどん頭から追い出していきましょう。

その他

あと、試験勉強の合間の息抜きに見ていただけだけど、イトーダさんという人のYoutube動画が結構面白くて役に立つかもしれない。PMIイズム的な話や、試験勉強の進め方などについて語っておられるので、時間があればおススメです。

www.youtube.com

 

おわり